禁煙治療を最適化する方法 「ニコチン代謝の速さ」がカギに
2015年2月23日 17:01
 禁煙を試みる喫煙者の7割は、禁煙開始後に1週間で再びたばこを吸ってしまい、もとの喫煙習慣に戻ってしまうという調査結果がある。禁煙に成功するカギは「ニコチン代謝の速さ」にあるという研究が発表された。

 遺伝子多型によるニコチン代謝の速さを調べることで治療を最適化でき、禁煙を成功に導ける可能性があるという研究を、米ペンシルバニア大学などが発表した。

 ニコチンの代謝速度が速い人には禁煙補助薬が適しており、ニコチンの代謝速度が遅い人にはニコチン置換療法が適しているという。

ニコチン代謝速度が速い人ほど禁煙は難しい
 ニコチン代謝速度は、禁煙開始後に体内のニコチンがどれくらいの時間で消滅するかを示している。これまでの研究で、「CYP2A6」と呼ばれる酵素によるニコチン代謝酵素の働きと喫煙欲求との関連性が明らかになっている。ニコチン代謝速度が高いほど、次の1本を吸いたいという欲求が起きやすく、禁煙もより難しくなると考えられている。

 ニコチン代謝速度が速い人は、体内のニコチン量がすぐに減少するために喫煙欲求が生じるまでの期間が短くなる。そうした人には禁煙補助薬「バレニクリン」などによる薬物療法が効果的だ。禁煙補助薬は、ドーパミンという快楽物質の分泌量を増加させることによってニコチン欲求を抑える。

 ペンシルバニア大学などの研究チームは、1,246人の喫煙者の遺伝子多型を調べ、ニコチン代謝速度が遅い人662人、速い人584人に振り分けた。その上で、▽ニコチンパッチを使用する群、▽禁煙補助薬を使用する群、▽プラセボ群の3つのグループに分け、11週間にわたり禁煙治療と禁煙カウンセリングを続けてもらった。

 11週間の治療期間が終了した時点で、どれだけの人が禁煙を続けていたかを調べた。その結果、ニコチン代謝速度が速い喫煙者では、禁煙補助薬を使用した群の40%近くで禁煙が続いていたのに対して、ニコチンパッチを使用した群では22%しか喫煙できていなかった。

7日間たばこを吸わなければ禁煙の成功率は高まる
 一方、ニコチン代謝の遅い喫煙者では、禁煙補助薬とニコチンパッチを使用した場合に差はなかった。そうした人はニコチンガムやニコチンパッチなどによるニコチン置換療法だけで禁煙を成功に導ける可能性があるという。

 バレニクリンは、吐き気や頭痛、便秘などの胃腸症状といった副作用が出る場合がある。ニコチン置換療法であれば、こうした副作用を心配する必要はない。

 「7日間禁煙を続けることができれば、その後半年間は禁煙を続けられる可能性が高い。喫煙者のニコチン代謝にもとづいて治療法を選択すれば、喫煙者が自分に最適な禁煙方法を選ぶ助けになり、効果的な臨床戦略になる」と、ペンシルベニア大学のキャリン レルマン教授(精神医学)は語っている。

 研究結果は、呼吸器医学の専門誌「ランセット レスピラトリー メディシン」に発表された。

Patch or Pills? How Quickly Smokers Metabolize Nicotine May Point to Most Effective Way to Quit, Penn Study Finds(ペンシルベニア大学 2015年1月12日)

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